私のものづくりの基礎は学生時代に築かれました。
大学では工業デザインを勉強しました。
工業デザインって単に意匠的なものをデザインするだけではありません。
モノの機能的な部分についても知らなければなりません。
そのモノを使うのは多くの場合、人。
だから、人についても知らなければなりません。
その中で私の専門は人間工学でした。
人に適した、人に易しいものを追及するというものです。
その時に研究していたのは靴ではなかったけど、
今の靴作りに通じるものはもちろんあります。
その時の研究で、いつも悩まされていたのは個人差。
その時は個人差ってなんとなく丸め込んで、論文書いてた(笑)
今、靴を作ってますが、
靴って、その個人差を丸められないんです!
100人いれば
200の足があります。
その足ってみんなちがう。
寸法が左右違う人もいれば、
片方だけ一部分が出っ張ってたり、
傾いてたり、
足の指だって、
親指(母趾)が一番長かったり
中指が一番長かったり。
それなのに一つのデザインの靴には、
0.5cmずつちがうサイズがあるだけ。
S.M.Lの3サイズしかないことも多々あります。
左右差なんて、
出っ張りなんて、
傾きなんて、
指の形の違いなんて、
考えてくれません。
そんな靴は当然量産では作れないから。
でも足には、
人の全体重が乗っかります。
骨の数も、こんな小さな部分なのに、体全体の1/4もあるのです。
なのに足と靴の関係を蔑ろ(ないがしろ)にしている人のなんと多いこと!!
靴の理想形は足と一体化すること。
だから、それぞれの足に合った靴が必要なのです。
そんな想いから生まれたのが履いて育む靴Hugのシリーズなのです。